【第19章】桃太郎の里

東京に行くはずだった予定を2日だけ岡山に変更した。大分から小倉まで行き、新幹線で移動する。
新幹線も、久しぶりだ、旅行に行ってる気分。数ヶ月前まで、100円のおにぎりさえ食べれなかったのに、1000円以上する駅弁を食べている自分に、とても感謝した。

この人並みな生活が、どんなに幸せな事なのか・・・この感謝は生涯、忘れてはならない事だと心に刻みながら新幹線から見える風景を眺めた。

数時間経過し、岡山駅についた。カバンを掲げて、ホームに降り、エスカレーターで改札口まで降った。

すると、改札口には、社長が直々、僕を待っていてくれたのだ。

「おおお!ひさしぶりだなぁ!」

と、社長は僕に握手を求めてきた。僕も、すぐさま手を出し握手した。

「社長!ご無沙汰です!!」

この社長と僕が初めて出会ったのは、18歳の時だった。当時、バイトをしていたお店の経営者で、その後もずっとお世話になっていた。数々の会社を経営する実業家で、非常に経営のポテンシャルが高い方だった。もちろん、苦労された時期もあるのだが、まさに無敵な億万長者であった。

駅に止めていた社長の車に僕は乗った。そして、運転しながら社長は言った。

「今、集合施設を作っていて、その手伝いをしてくれないかとおもってなぁ」

「自分にできる事ならば」と僕は、即座に返事をした。

その後、車は、まだ整備されていない建設中の広場に入り、砂煙をあげて止まった。

「今井くん、ここだ!」

その広場は、想像してた以上に広大で、すでに数店舗の建設工事が行われていた。やはり、この社長はすごい。このパワーは昔から偉大である。

僕は、社長に聞いた。

「社長、僕は、ここで何が手伝えるんでしょうか?」

社長は言った。

「いろいろだ!(笑)」



月日は流れ、2日間の岡山滞在だったものが、そのまま、2年を経過した。(笑)
僕は、この社長と新しくIT会社を起業し、専務取締役として就任していた。

個人的に描いていた目標も1人で小さくやるより、社長と共に築き上げた方が得策だし、何より、僕の本当にやりたい事をいずれ、この社長と共に成功し、恩返しできたらと考えていたのだ。

ただ、この2年間、僕の中でありえない事が続いた。

今まで、貧乏でも健康そのものだったのに、血液の異常、謎の頭痛や神経痛、関節痛、記憶力、集中力の低下に襲われたのだ。

健康を害する事など、過去に一度もない。

数分おきに来る謎の激痛は悲鳴をあげるほどだった。病院に行くも原因がわからず、当然、睡眠も取れない。そして、それに伴い集中力と記憶力が低下。毎日歩いている通勤の道ですら、どこを歩いているのかわからなくなり迷子になった事もあった。

しかし、体調を崩した原因は、自分で理解していた。

今までの緊張してたものや、無理していたものが、この社長との再会によって安心と変わり、一気に押し寄せて来たのだ。

代表取締役は、とにかく、風当たりが強い。言い訳もできないし、どこにも防風林などないのだ。
そんな経営をずっと1人でやっていた僕にとって、この社長の壁が強すぎ、甘えすぎた。

まだまだ、借金返済は続いていたし、このままでは、自分の研ぎ澄まされた感覚がダメになると考えた。そして、ある日、僕は社長に申し立てる。


「社長!お願いです!僕を東京に行かせてください!」

しばらく考えた社長は「よし、やってみろ」と了承してくれた。


僕は、岡山を去り、東京リベンジする。



第20章に続く・・・・。

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