【第20章】芸能界への扉

春満開の季節に、東京についた。僕は、お台場の浜辺に行き、ホームレスから復活した際に書いた自分自身への誓いのノートを開いた。

そこには、こう書いている。

「今井まことは、5年以内に、東京に行き、エンターテイメント・芸能のトップをとり、仲間と共に最大の資産を提供する。」と

よし!自分の計画では、まだ想定内だ。芸能関係の人脈もないが、絶対にどうにかして見つけてやる!なぜなら打つ手は無限だからだ。そう言い聞かせてはみたが、その頃、まだ体調が少し悪く、着いた早々に激痛にてホテルで寝込んでしまった。

次の日、なんとか、動けそうだった。さぁ営業である!

以前の倒産した会社の人脈は使えない。つまり、人脈0人友達0人からのスタートだ。ましてや、芸能人脈など、どこにどう行けば良いのかも不明。僕は、戦略を考えた。

そうだ!まずは芸能人が経営しているお店を回ろう!

ネットで調べ、リストを作り。毎日、芸能人が経営するお店を巡回した。しかし、あくまで経営であって本人が店頭に居るわけではない。ただ、可能性が1%でもあれば、それを逃したくはなかった。

そんなある時、1人だけ東京に知人が居た事を思い出した。10年ほど前に絵本を動画にしたプロジェクトでお世話になったHさん、僕より20歳年上の大先輩だ。この方には、会社で迷惑もかけていないし、倒産した事すら知らないはずだ。携帯からHさんの番号を探し、電話をかけた。

今井「もしもし!Hさん!今井です!覚えていらっしゃいますか?」

Hさん「おお!今井くん!元気していたの?」

今井「お食事でもいかがですか?」

僕らは、久しぶりの再会をし、渋谷の餃子屋に行った。

東京での孤独感が限界だったのだろう、僕は、お酒が飲めないくせに、嬉しくてHさんと飲みまくった。そして、今までの出来事を全て話したのだ。

Hさん「すごいね!よく頑張ったね!君は努力家だよ!」

Hさんは、昔から励まし上手であったが、今思えば、それを知ってて褒めてもらいたかったのだろう・・感極まり、その場でまたまた号泣したのだった。

その時、テーブルの前を1人の酔っ払いが通った。

「おお!!Hさん!なに、こんな青年を泣かしてるの?」

Hさん「いやいや(笑)実は、彼は、こんな経歴でね・・」と僕を紹介してくれた。その方は、Hさんの先輩であるSさん。

Sさん「ほうほう、ドロドロした話は、やっぱ面白いねぇ〜」

そんな毒づいたSさんも含め、その夜は、3人で話を咲かせ、とても楽しい時間を過ごした。

やはり、知り合いが居ないのと、1人でも話せる人が居るとでは大違いだ。僕は、励みとなり、さらにあらゆる芸能関連の人脈を探し求めた。

僕は、スケジュール帳に、びっしり予定を入れ、芸能イベントに顔を出したり、飛び込み営業したりを繰り返し、2000枚の名刺をあっと言う間に交換した。

しかしだ・・。しかし、芸能と名乗る人間は、なぜか、ほとんどが胡散臭い。前にも述べたが、成功者を嗅ぎ分ける僕の嗅覚が違うと言っている。成功オーラを持った人物が居ないのである。

そんな時、紹介の紹介を通じて、Yさんという人物と出会う。Yさんは、相撲取りにも匹敵するくらいの大柄な体型で、微笑みを浮かべながら、とにかくよく喋る50代の芸能関係と名乗る人物だ。

雰囲気からすると、成功の法則に相反しており、ありえないと感じるのだが、トークの内容は、素晴らしい芸能人脈と成功談なのだ。僕は、正直、半信半疑ながらも、今までにないパターンであるのは、察知し、彼としばらく様子を見ながらも、時間を共にするようになった。

Yさんは、自信げに言う「俺といたら、芸能界の人脈トップダウンでいけるよ」

今井「本当ですか!?」

僕は、自分の武器をITスキルとし、Yさんの企画にIT戦略を融合させると、このようなメリットがあると売り込んだ。Yさんは、それを面白いと言い、その企画を各大手事務所に売り込んでやると言うのだ。
しかも、Yさんの口から出た芸能事務所は、錚々たるTOPの芸能事務所ばかり。

今井「本当ですか!?ありがとうございます!」

僕は、企画書を作ってYさんに渡す。数日経過すると、芸能事務所に行って来たが、ここを直せと指示が来る。この繰り返しを何度もやっていたのだ。しかし、本当に、芸能事務所に行ってる証拠もないし、だんだん、不信感が限界に到達していた。

そんなある日の事、あのHさんとまた、お酒を飲むことになったのだ。僕は、いつもの渋谷の餃子屋に行った。

すると、なんとそのお店でYさんが、あのSさんと酒を飲んでいたのだ。

今井「え?Yさん、Sさんとお知り合いなんですか?」
しかも、そのテーブルにあるのは、僕の作った企画書だ。

今井「あれ!?この企画書、Sさんに見せてるんですか?」

Yさんは、ばつが悪そうな顔をした。しかも、見た事のないようなゴマすり笑顔をSさんにしているのだ。え?どう言う事?

よく理解できなかったが、Yさんから近寄るなオーラを感じ、テーブルに戻り、Hさんを待っていた。

そして、Hさんが来た。

Hさん「今井くん!お待たせ!おお!あそこにSさんも居るじゃない!あとで呼ぼうよ。」

その後、Yさんと話が終わった、Sさんは、こちらのテーブルに来た。その時に、Yさんは、そそくさと去るのだが、かなり焦ってる様子は伺えた。

今井「Sさんは、Yさんとお知り合いだったんですね?」

Sさん「あいつが、考えた企画書を持っていくから○○事務所に紹介しろだの、頼まれてね・・。」

今井「え?Sさんって○○事務所とか、お知り合いなんですか?」

Hさん「今井くん、Sさんはね・・・」と、Sさんの経歴を補足した

えええええ!!!Sさんって、そんなすごい人だったの・・!!?。

そして全部、頭の中で繋がった。Yさんが、出して来る人脈とSさんの履歴がピタリとハマる。なるほど、Yさんは、Sさんの人脈を辿っていたんだ。それは悪い事ではない。むしろ事実、Yさんが、本当に企画書を持って動いてくれたなら問題ない。と嬉しくさえ思えた。

しかし、僕が探し求めていた人脈が、まさかこんなに近いところにあったとは・・・。
天にも昇るような思いで、また、その夜、3人で楽しい時間を過ごしたのだ。


その夜中の事だ。Yさんから電話が来た。

Yさん「おい!お前、Sさんと近づくな!」

今井「え?」

いつもより、粗々しい口調だった。

今井「どうしてですか?」

Yさん「Sさんは、○○で、危ない人物だ!俺が、それを止めているんだ・・。」

意味がよくわらないが、疑問が積もって行く中で、Yさんの戦略が読めて来た。
Sさんと僕を近づけまいと、子供のような嘘をついているのである。
しばらくは我慢して聞いていたのだが、あまりに、幼稚な口実と設定にだんだん呆れ、怒りすら感じて来た。

そして、耐えられなくなった僕は、こう言った。

「Yさん、人脈を飛び越えるなと言う事なら、そのつもりは僕には無いからそれでいいのですが、Sさんの悪口言って、僕から離れさせようとか言う幼稚な話してるなら、やめてくれませんか?」

九州男児だからなのか、こうした女の腐ったような手口が一番、鼻につく。

あの、詐欺師ですら、こんな幼稚な手法を使わない。
どれだけこの人は器が小さいんだ!そう思って、僕は続けた。

「わかりました、Sさんがどれだけ、危ないのか、僕が自分で判断します。」

Yさんは、このとき罵声をあげていたが、よく聞かずに、電話を切った。
そして、先ほど聞いたばかりのSさんの番号に電話をして、そのまま尋ねた。

今井「Sさん!夜分すいません。Yさんがこう言ってるのですが、本当ですか?」

Sさん「はぁぁぁぁ?」

まぁ、こんなわかりきった電話をする僕も僕なのだが。白黒はっきりしないのが気持ち悪いので、ストレートに互いのテーブルにあげたのである。

しばらくして、今度は、Yさんから、電話が鳴った。

Yさん「おい!こら!お前なんて事、言うんだ!!お前のせいで、どれだけの損害が出ると思ってるんだ!!」

今井「Yさんが言ってた事、聞いただけなんですが・・。」

Yさんは、僕のためになどと言い訳を述べていたのだが、さすがに設定が甘すぎて話にならなかった。Yさんとのお付き合いは、ここで終わった。

正直、気の毒ではあるが、愛がないと滅びてしまうのは自然の摂理なのだ。僕がどうこう言わなくても結果、いつか天地宇宙から制裁は受ける。

僕も再度、そうならないように襟を正して歩んで行こうと、そう誓った。

ただ、この事が、きっかけで、Sさんとさらに親しくなり、とんでもない人物たちと、出会う事になる。


第21章に続く・・・。

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当時使っていた携帯

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