【第22章】愛を愛で制す

今を覚えば、Yさんと出会う前の、芸能人脈と言えばインチキばかりで、そんなものに数千枚も名刺をばら撒き、時間とお金を使ってしまった。そう考えると、これもYさんのおかげである。
人生は、地道な階段とは別に飛躍のエレベーターがあるんだなと改めて感じた。

さて、Sさんと、もう飽き飽きするくらい同じ渋谷の餃子屋で日々飲んでいた。この会合は、嬉しいのだが、せめて場所を変えて欲しいものである(笑)。お酒を飲めない僕も、少しだけいける口にまで、成長していた。そんなある日、またまた紹介したい人物がいるとSさんから連絡が来た。

僕は、その餃子屋でテーブルに座り2人を待った。

Sさん「今井くん!遅くなってごめん!紹介するよ!浅井企画の専務川岸さんだ。」

僕は、衝撃が走った。正直、妻と出会った時ですらこんな衝撃はない(笑)。
初対面でありながらも、「やっとお会いできました!」がストレートな感想であった。なぜなら、僕の想像していた成功者の完成人物像、そのものであったからである。

浅井企画と言えば、あの芸能界の大御所、萩本欽一さんを筆頭に、関根勤さん、小堺一機さん、キャイーン。最近だとANZEN漫才などなどを排出した大手芸能事務所。

川岸専務は、光沢にあるスーツに身をまとい、心からにじみ出た円満な笑顔で僕に言った。

川岸専務「どうも、はじめまして。」

今井「どうも!はじめまして、大変恐縮です!よろしくお願いします。」

3人で乾杯をし、今日の飲み会は、一味違うと期待に心を震わせた。

Sさんと川岸さんの過去の芸能武勇伝を聞いた。本当にすごい御2人で、まさに戦友。芸能界がまだ完成されていない時代を築き上げた方々の歴史あるお話は、想像を絶した。(ちなみに、川岸専務は、僕の父の一つ上で現在77歳である。)

そんな話をしながらも、僕は、この川岸専務から更なる成功法則の真髄を確信して行く事になる。

以前の成功者からこう言われていた事を思い出した。

「真の成功者は聞く力が強い」と。

まさに、川岸専務は、この聞く力とそれからの返しが見事なのだ。僕みたいな小物に対しても、100%の力で、話を聞いてくれ、それに対して、想像を絶する知識のライブラリーから鋭くも愛をもって返答を返してくれる。単に優しいという安っぽい愛でなく、厳しさや経験から伝える意思をしっかりと感じさせる重圧ある愛である。そして、それだけではなく、声の出し方や姿勢、笑顔すべてに対してにそれがにじみ出ている。


なるほど・・やはり、理想郷は存在してたんだ・・・。


聞けば、浅井企画は、創立50年だと言う。会社生存確率だと1万社に1社しか残らない確率論だ。

この50年の生存率は偶然なのか?いや、こうした愛ある経営者と接すれば一目瞭然である。このようなものは、決してテクニカルなものではないことが理解できる。自然の摂理に基づいた考え方や行動が、そのまま継続年数として結果を出している本当の成功モデルなのだ。

これこそが、僕の求めていた、経営学であり、人生学であり、エンターテインメントの真髄であった。

なるほど、男が惚れるってこう言うことなんだと心から感じた。
そう、僕は、人生ではじめて、男に一目惚れしたのだ。

ヤクザが、叔父貴に対して命をかけることができるのは、義理と人情の極みで、叔父貴に惚れているからだと思う。これに等しい感情が込み上げた。

すごい!すごすぎる!!愛を愛で制するとは、こういう人物なんだ・・。

この日から、浅井企画専務、川岸咨鴻(ことひろ)氏を人生の最も尊敬する人物として僕は心に強く刻んだ。

そして、僕は、この後、あの欽ちゃんこと、萩本欽一さんと出会う事になる。


第23章へ続く・・・。

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浅井企画 川岸専務

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